最終更新日 2024年8月12日
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1、はじめに
1980年10月21日、
読売新聞本社で突然に行われた記者会見。
「長嶋茂雄監督」の
「解任」の記者会見でした。
その席で、
「3年間優勝が出来なかったのは、
すべて自分の責任、
男としてけじめをつける」と
監督を辞任するように話しています。
しかし当時の新聞報道では、
会見時の表情から
無念さが感じられたと
書かれていました。
これに対して球界のOBも、
「球界にこれだけ貢献した人が
汚れたままで
やめなければいけないのは、
かわいそう」
と言っていました。
共に巨人を支えてきた王貞治は、
「自分で育てた若い選手が
戦力になりつつあるので、
残念な事だと思います。」
また「ニュースで知りショックです」
と話しています。
このように誰もが信じられない
突然の話しでショックなことでした。
それでは、
いったい何があったのでしょうか。
「解任」に至るまでを振り返ります。
2、長嶋監督の6年間
1975年の監督1年目は
現役引退即、監督就任で
クリーンベースボールを標榜し、
ユニフォームやコーチ陣を
一新しスタートしましたが、
自分を含め、森昌彦、黒江透修と
いった主力選手が抜け、
新戦力もなく監督としての準備が
十分でないまま
シーズンを迎えました。
結果は、球団史上初の最下位でした。
あの「スーパースター長嶋茂雄」が、
ファンから罵声を浴び、
マスコミには選手起用法で
批判を受けるという
信じられない結果でした。
1976年の監督2年目は、
積極的にトレードを行い
適材適所のポジションが功を奏し、
セ・リーグ優勝を果たしましたが、
日本シリーズでは阪急に敗退しました。
1977年の監督3年目は、
圧倒的な強さで首位を独走し、
セ・リーグ2連覇。
しかし、
日本シリーズではまたも阪急に敗れました。
1978年監督4年目は、
ドラフトやトレードで積極的に補強し、
今年こそは日本一、
と臨んだシーズンでした。
シーズン終盤に取りこぼしが多く、
結果2位で終わりました。
この結果巨人OBからは、
「長嶋采配」に批判が集まり、
優勝を逃したのは、
「長嶋の采配ミス」と叩かれました。
また、この年あの「江川事件」が
発生しました。
1979年監督5年目は、
前年のドラフト会議をボイコットしたため
新戦力がないままシーズンに入りました。
結果は5位でした。
この年のシーズンオフ
「地獄の伊東キャンプ」と言われる
後の巨人の主力となる18人の
選手を徹底的に鍛え上げました。
1980年監督6年目は、
投手陣は頑張ったが、
打撃陣の不振で、
チームは辛うじて3位でした。
この結果、
さらに「長嶋批判」が高まり
「解任」となりました。
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3、解任理由
1979年頃になると、
強かったV9時代を懐かしみ、
川上前監督の再登板を
願う声が出始めました。
1979年の5位に終わった年の
シーズンオフ、
トレードに出された張本勲が、
この当時の巨人のコーチ陣は、
長嶋監督を助けようとせず、
「フロントの顔色ばかりを
窺っていた」
と話しています。
これには、理由があります。
長嶋監督就任後、
自ら選んだ11人のコーチがフロントにより
「解任」されているからです。
このように長嶋監督排斥に向け
着々とシナリオが進む中、
1980年のシーズン中に
川上前監督を中心に、
次期巨人の監督についての
話し合いが行われたと言われています。
また、
1980年のシーズンでAクラスに残れば、
監督残留という話でしたが、
一転して「解任」ということから、
川上前監督派の「陰謀」だと
言われることになりました。
このような事から、
長嶋監督が川上前監督に対する不信感を
持つようになりました。
4、長嶋監督の思い
長嶋監督自身は、
監督就任以来6年間で
鍛え上げた選手たちと
1981年は勝負をかける予定でした。
また、長嶋監督の思いを一番近くで
見ていた王貞治も、
「育ててきた若い選手が
のびてきただけに、
ここでの解任は無念だと思う」
言っていますが、
正にこの通りの思いだったのでしょう。
また、オーナーからフロント入りを
進められましたが、
拒否して、完全に退団となりました。
無念な思いはファンも同じで、
「解任」の記者会見後には、
読売新聞の不買運動が
起こるほどでした。
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5、おわりに
この「解任」劇は、
長嶋監督にとってもファンにとっても
「寝耳に水」の話でした。
1981年こそは、
長嶋監督が育てた選手で日本一を
期待していたファンも
多かったはずです。
1981年の巨人は藤田監督だから
日本一になれたという声もありますが、
活躍したのは、
長嶋監督が育てたと言われる
選手がほとんどです。
だから長嶋監督が続投していても、
日本一になれたのではないでしょうか。
そのように思うので、
現在でも、残念で仕方ありません。
最後まで読んで頂き有難うございます。
参考書籍:株式会社ベースボールマガジン発行
日本プロ野球事件史
参考資料:ウィキペディア
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