最終更新日 2023年2月4日
1、はじめに
お正月を挟んだ、
12月8日と2月8日の二日を
「事八日」といいます。
このうちのどちらかを【事始め】とし、
もう一方を【事納め】としています。
この場合の「事」とは、
神事や農事を表す言葉です。
この「事」が正月に行われる神事ならば
12月8日が【事始め】になり、
2月8日が【事納め】になります。
また「事」が農事ならば、
2月8日が 【事始め】 になり、
12月8日が 【事納め】 になります。
全国的に統一された行事では
ないので、聞きなれない言葉ですが、
ここに紹介します。
ぜひ話題のタネにして下さい。
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2、事始めの由来
【事始め】は2月8日にしても、
12月8日にしても「物忌み」の日に
あたります。
物忌みとは:ある期間、行動、食事、言動などの
日常的な行為を慎み沐浴などをして、
心身の穢れを避けること
この日は、
徘徊する魔物たちを退治や、
歓迎することや
針を使うことが戒められてきました。
2月8日を【事始め】にする説は諸説ありますが、
①武御雷(たけみかづち)の神が2月8日に出陣し、
12月8日に帰陣したことからとの説が有力です。
武御雷の神とは:日本神話に登場する神様で、
雷神、剣の神様と言われ、
茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮の主神として
祀られています。

②農作業の準備が2月から始まり、
12月に農作業の神事が終わると言う説
などがあります。
反対に12月8日を【事始め】として、
2月を【事納め】とするのは、
「事」が「正月」に関する行事と
考えるからです。
また、12月8日から2月8日までは
収穫が終わり、次の農事が始まるまでの
「物忌み」の期間とされています。
3、事始めの行事
【事始め】には日本各地で
様々な行事が行われます。
(1)一つ目小僧、
疫病神が家を訪れて悪さをするので、
籠やざるなど細かい目の道具を玄関に置いて
侵入を防ぐ
(2)【事納め】には「ハリセンボン」という魚が
やってくる日とされ、
浜辺に打ち上げられた「ハリセンボン」を拾い
厄除けとする習わし
(3)わらで大きなムカデや草履を作り
隣の地区との境界線に飾り
厄除けをする習わし
などがあります。
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4、針供養

2月8日と12月8日は【針供養】の
日でもあります。
(1)針供養とは
①裁縫が上手になることと、ケガをしないことを願って
豆腐やこんにゃくなどの柔らかい物に、
古くなったり、折れたりした針を刺して、
神棚に供えたり、川に流したりします。
②地域によっては、2月8日と12月8日の両日
行う所もあれば
どちらか一方の所もあります。
③この日は針の仕事で使われている針を休め
裁縫の仕事を休む日になっています。
(2)針仕事の減少
①最近では家庭での針仕事を行う機会が減り
針供養を見かける機会も少なくなりましたが、
服飾関係の現場では今でも
針供養が行われています。
針供養で有名な神社:
和歌山県の淡島神社(あわしまじんじゃ)は
裁縫の神様が祀られていることから
針供養に結びついたとされています。
また、婦人病を治してくれる神社としても有名で
人形供養なども行われます。
(3)日本各地の針供養
①北陸地方では「針歳暮(はりせんぼ)」と
呼ばれる行事があり、
この日は針に一切触れずに、まんじゅうなどを
食べたり、贈ったりする習わしがあります。
②長野県では針を豆腐に刺し、神棚にあげたり
縁の下に投げ入れたりする習わしがあります。
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5、おわりに
【事始め】の日は、各地で様々な行事が行われて、
その意味の捉え方が異なりますが、
生活していく上で基になる大切な日です。
そんなことを考えながら【事始め】の
一日を過ごしたいものです。
最後まで読んで頂き有難うございます。
参考書籍:株式会社神宮館発行
暮らしのしきたり12ヶ月
参考資料:ウィキペディア