最終更新日 2024年10月3日
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1、はじめに
【亥の子の祝い】(いのこのいわい)
という言葉に馴染みがない方も
いらっしゃるのではないでしょうか?
これは「旧暦」の
10月最初の
亥の日(い・イノシシ)の
亥の刻(21時~23時)に
亥の子餅を食べて
無病息災と子孫繁栄を願う行事です。
2024年の亥の子の日は、
11月7日(木)です。
【亥の子の祝い】は、
昔から関西を中心行われている行事です。
そこで、
どんな行事か知ってもらいたいと
思いここに紹介します。
また、関東で行われている
【十日夜】の紹介もします。
ぜひ参考にして下さい。
2、亥の子の祝いの由来
平安時代の宮廷では、
旧暦の最初の亥の日の亥の刻に
天皇が餅をつく仕草をしました。
それが終わると、
家臣に「亥の子形」の餅を
配るのが恒例行事でした。
その後、貴族や武士にも広がり、
民間にも定着しました。
「十二支」 を月に当てはめると、
10月は「亥」になるので、
亥の月、亥の日、亥の時間で
「亥」が三つ横並びになります。
これには、霊的なものがあると考え、
餅を食べ万病を祓い、
さらに多産の猪にあやかって、
子孫繁栄を願いました。
また【亥の子の日】には、
子供達が参加する
「亥の子搗(つ)き」という
行事があります。
子供達が、藁(わら)を束ねた
「藁鉄砲」を持って、
騒ぎながら「亥の子搗き」と言って、
地面をたたいて回ります。
これは、土地の悪い霊を鎮め、
豊穣を祈願するものとされています。
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【お申込みはこちら】3、亥の子餅
亥の子餅は元々、
大豆、小豆、大角豆(ささげ)、
胡麻、栗、柿、糖
の7種類の粉で作られていました。
赤、黒、白の3種類の餅があり、
赤には小豆、
黒には胡麻、
白には栗を混ぜて作りました。
その餅に
最初の亥の日には菊、
次の亥の日には楓、
3回目の亥の日があれば銀杏を
添えて食べていました。
イノシシの子供のウリボウのように、
線が入った物や
イノシシの形のものもありました。
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4、縁起物の猪
多産のイノシシにあやかって、
子宝に授かりたいと願う女性が
亥の子餅を食べるとよいと
言われています。
「源氏物語」にも、
亥の子餅が子宝に恵まれる
縁起物として書かれています。
またイノシシは、
火を防ぐ動物と言われでいます。
そこで、
江戸時代には【亥の子の日】に
こたつを出すと、
火事にならないと言われ、
この日にこたつを出す
習わしがありました。
他にも、
茶人の家では【亥の子の日】に、
「炉開き」という茶事用の炉を
開ける行事がありました。
農家では、
囲炉裏を使い始める日でした。
縁起の良いイノシシは、
色々な形でお祝いされてきました。
農村では、
イノシシの多産は
農作物の豊作につながることから、
「田の神」として、
感謝する収穫祭が行われました。
5、十日夜(とおかんや)
関東地方では、
この日に【十日夜】という
行事が行われます。
関東地方では「田の神様」が
山へ帰る日とされています。
そこで「田の神様」の化身の
「案山子(かかし)」を
自分の家に持ち帰って、
祀る行事があります。
これが【十日夜】です。
「案山子上げ」と呼ぶ地域もあり、
「案山子」が被っている「笠」を焼き、
その火で焼いた餅を「お供え」します。
その他、地域によって
①「もぐら」が地面から出てこないように、
わらで束ねた「藁鉄砲」で、
子供達が家々を回り、
玄関先で地面をたたく行事があります。
②「大根の年取り」
【十日夜】は大根が成長する
大切な夜なので、
「大根を抜いたり、
食べたりしてはいけない」とか
「大根の割れる音を聞くと命がない」
などの言い伝えがあります。
またこの時期は、
夜空に見事な月が出ることから、
昔から「お月見」の風習があります。
「十五夜」、
「十三夜」、
【十日夜】の
お月見を「三月見」といい、
三日間とも晴れてお月見ができると
良いことがあると言われています。
2024年の「十日夜」は
11月10日(日)です。
6、おわりに
日本では昔から、
自然や生き物にあやかって
生きてきました。
そこには様々な行事があり、
全国的な大きな行事もあれば、
この【亥の子の祝い】や
【十日夜】のように
ある地方でのみ行われている
行事もあります。
しかし、どれも大切な行事です。
そこで【亥の子の祝い】や
【十日夜】 の風習がない地方の人も、
いらしゃいますが、
これを機会に 無病息災、
子孫繁栄を願って
【亥の子の祝い】や
【十日夜】 の行事を
行ってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んで頂き有難うございます。
参考書籍:PHP研究所発行
知れば納得!暮らしを楽しむ12ヶ月のしきたり
参考資料:ウィキペディア