最終更新日 2024年9月11日
広告
1、はじめに
「旧暦」の9月9日は
「桃の節句」 や「端午の節句」 と同じ
「五節句」 の
一つで【重陽(ちょうよう)の節句】と言います。
中国では縁起が良いとされる奇数の中で
一番大きい「9」が重なることから
「重九(ちょうく)」と呼ばれ
「五節句」の中でも特におめでたい
「節句」と言われています。
しかし実際には「五節句」の中では、
一番馴染みがないと思われます。
では【重陽の節句】とは
一体どんな日でしょうか。
紹介しますので、
ぜひ身近な日にして下さい。
2、重陽の節句の始まり
中国の伝説によると、この日に山に登ると
「遭難に遭う」と予言された一家が
ある仙人の忠告で山椒を身に着けて
高い山に登り「菊酒」を飲んだところ
災いが消えたと言われています。
この故事に基づいて
【重陽の節句】には「菊酒」を
飲む習わしが始まりました。
この習わしが平安時代に日本に伝わり、
宮中行事として定着しました。
その後、この習わしが庶民に伝わり
「お九日(おくんち)」と呼ばれ、
秋の収穫祭と合わせて
祝うようになりました。
これが有名な
「長崎くんち」
(長崎伝統芸能振興会HPより引用)
「唐津くんち」
(唐津観光協会HPより引用)
「博多おくんち」
(福岡市公式シティガイドHPより引用)
になっています。
【重陽の節句】は、
別名【菊の節句】とも言われています。
「菊の花」は奈良時代に
中国から伝わりました。
「菊の花」は仙人が住む場所に咲き、
「不老長寿」の効能があると
言われています。
このことにあやかり、
盃に「菊の花」を浮かべた「菊酒」を
飲んで「不老長寿」を願いました。
旧暦の9月9日は、
新暦では10月の中旬頃になります。
この時期には、
各地で「菊人形展」
「菊の品評会」などが開かれています。
3、菊にまつわる習わし
「菊」にあやかる話として、
日本人が独自に考えた習わしに
「菊の着せ綿」
「菊合わせ」があります。
「菊の着せ綿」は、前夜(9月8日)から
「菊の花」に綿をかぶせておきます。
翌朝、菊の香りと露を吸った綿で、
体を清めます。
これで老いをはらうとされていました。
「菊合わせ」は参加者が左右に分かれ、
持ち寄った「菊の花」を前に出し
歌を詠み合い
「菊の花」と歌の優劣を競うものです。
また【重陽の節句】に摘んだ
菊の花びらを乾燥させて、
枕の詰め物にした枕があり
「菊枕」と呼んでいます。
菊の香りがもたらす鎮静効果で
熟睡できると言われています。
4、大人のひな祭り
9月9日には「後の雛(のちのひな)」と
呼ばれる行事が行われます。
江戸時代から始まった行事で、
3月3日の「ひな祭り」に
飾った「ひな人形」を
9月9日に再び飾るものです。
これは、
大人の女性の健康や長寿を願う行事です。
そこから【大人のひな祭り】と
言われています。
広告
5、重陽の節句の食べ物
【重陽の節句】には
食用菊を日本酒に浮かべて飲む
「菊酒」以外に
特別な料理を食べる習わしはありません。
しかし【重陽の節句】の頃は、
栗が旬をむかえるので
「栗ご飯」を食べる習わしがあります。
そこで「栗の節句」とも言われています。
また農村では【重陽の節句】に
なすを食べる習わしがあります。
この日になすを食べると中風にならない
といわれています。
6、おわりに
現在では【重陽の節句】に
特別に行われる行事はありませんが、
【重陽の節句】をルーツにした行事が
数々残っています。
その中で私が最も日本人的だと思うのが
【大人のひな祭り】です。
それは「ひな人形」を
【ひな祭り】が終わった後、
1年間しまったままにしておくと、
カビや虫食いなどで「ひな人形」が
傷んでしまいます。
そこで「もったいない」という
日本人的考えから
半年後の【重陽の節句】に飾る事により、
風通しを良くし、
長持ちさせることが出来ると
考えた事です。
この事は「モノ」を大切にする
日本人的発想から出ているのではないかと
私は考えます。
このように【重陽の節句】も
他の【節句】と同じように
意義深い行事です。
皆さんも【重陽の節句】には、
健康と長寿を願い
大切に1日を過ごして下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考書籍:PHP研究所発行
知れば納得!暮らしを楽しむ12ヶ月のしきたり
参考資料:ウィキペディア
広告
7、関連記事
9月の別名行事など盛り沢山の話題のタネ
9月1日~9月30日の誕生花と対応する花言葉